一口に保護犬と言っても本当に性質はその子その子によって様々です。そして保護犬は家庭にお迎えしてゴールではなく、とても手がかかるという覚悟が必要です。どうしたらよいか分からなくて保護主(譲渡元)さんに相談したいこともたくさん出てくると思います。
保護犬の性質を事前によく把握し、ずっとお付き合いできる信頼できる保護主さんから、ご自身のライフスタイルに合う保護っ子ちゃんをお迎えしましょう。
【目次】
日本における犬の殺処分状況
ペットショップからではなく、殺処分されてしまうかも知れない命を迎えたいという方が年々増えています(と私自身も感じるのですが、そうではない実態をこの後見ていただければと思います、、、)。
保護犬のお迎え方法を検討する前に、まずは日本における殺処分の実情を見ていきたいと思います。
下の2つのグラフから、全国の犬の引取り件数(保健所への迷子/捕獲/飼育放棄なのによる持ち込み)は、平成元年70.7万頭に対し、令和3年には2.4万頭まで減少しています。それと対応するように、殺処分も68.1万頭から2,739頭に、犬の引取り件数に占める殺処分率を算出すると96.3%から11.4%まで減少してきています。
この数字だけを見ると、大幅に減少したように見えますが、それでも8~9頭に1頭は殺処分されていることが分かります😢。(処分、、、って、そもそもひどい言葉です)


一方で下のグラフは、飼い主が判明し返還された件数+譲渡された件数を表しています。絶対数で見ると犬の譲渡数はまるで伸びていないばかりか、減少傾向にあることが分かります。引取り件数が激減してるから当たり前だろ!と言われそうですね。
譲渡率を算出しても、2.8%から89.6%に急増しています。ですが、果たして譲渡率で見るのが正しいのでしょうか?個人的には譲渡率100%には意味があると思いますが、そうでないならば譲渡件数が伸びていない問題の方に目を向けることの方が重要だと思っています。
そう考える理由を、この先で見ていきたいと思います。

※上記グラフ出典元:環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室ホームページ
下のグラフは犬の飼育頭数と、新規飼育頭数の推移です。全体で見ると犬の飼育頭数は微減傾向にあるのですが、犬の新規飼育頭数は増加傾向にあるのです。2021年新たに家族に迎られた犬は39.7万頭。先ほどのグラフからその年に殺処分された犬は2,739頭ですから、新しく犬を家族に迎えた方のうちたった約1%の方が殺処分対象の犬を迎えてくれていたら、その年の殺処分はゼロだったということになるのです😢😢😢


※上記グラフ出典元:一般社団法人ペットフード協会実施2022年(令和4年)全国犬猫飼育実態調査結果
いかがでしたか?
日本はそこら中にペットショップやホームセンターがあって、お店で子犬が売られていて、値札がついていて、おまけに売れ残りの子はセールまでされて、まるでクリスマスケーキのように取り引きされるのが当たり前のようになっています。生体販売の裏側では、流通段階で年間2.6万頭(犬猫合計)が死亡しているという衝撃のデータもあります。
一方で世界に目を向ければ、ドイツ、フランス、アメリカの一部の州など、世界的に動物愛護の観点で生体販売禁止の動きが広がってきています。
今後、日本でも生体販売が禁止になることを切に願いますが、他の先進国と日本の温度差において、思い出すことがあります。それは、10年以上前、ニューヨーク在住の知り合いが「ニューヨークでは毛皮のコートを着ていると生卵を投げられるほどのバッシングにあうよ」と言っていました。その時は、気持ちはわかるけど、ニューヨークは過激だなと思った記憶があります。ですが、今現実に起きていることと言えば、海外のファッション業界が率先して、化学繊維の毛皮のコートを「エコファー」というポジティブ表現でプロモーションし、動物の毛皮を使わなくなったことです。カリフォルニア州で2019年に動物の毛皮製品を禁止する新しい法律が制定され、2023年1月から施行されましたが、法律が定められるより先に民間レベルの意識改革のムーブメントがあり、老舗高級ブランドが続々と脱毛皮宣言をしました。
「生体販売は、法律が可としているし、ペットショップで売られているから。」を理由にせず、現実を直視したいものです。
自分のライフスタイルと相性の良い保護犬は?
一口に保護犬と言っても、色々な出自の保護犬がいます。
- 繁殖引退犬
- 飼育放棄による保健所持ち込み
- 個人やブリーダーなどの多頭飼育崩壊
- オーナーに先立たれ行き場を失った子
- 迷子のまま飼主不明で保護されている子
- 野良犬(人の居住エリアで放浪している子)
- 野犬(自然の中で人との接触を持たず放浪している子)
- 猟犬の遺棄
、、、などなど
それぞれの出自によって人との共生のしやすさもまったく異なります。野犬を迎えた身として個人的印象ですが、共生のしやすさは、「人馴れのしやすさ」と「運動量」の2つがとても大きいと感じています。この2軸で、主観でざっくりとしたマトリックスを書いてみました。
※ちなみに「人馴れのしやすさ」はあくまでもスタート時のお話しで、心が通じ合う時が必ずきます。そして分かりあえる過程もとても素敵な時間です。ですが、「運動量」はその子が高齢で運動が難しくなる時までずっと続きます。

野犬は人との接触のない自然環境で群れで生活していたため、最初は人馴れしにくく、運動量も相当必要です。猟犬は人間に飼われていたため人馴れは野犬ほどは難しくないかも知れませんが、運動量は野犬以上です。野良犬は人間生活圏で育っているため人馴れも運動量もそこそこ必要ですが、野犬ほどはハードルが高くないかも知れません。繁殖引退犬は常に人間が関与する環境で育っているので虐待されていなければ、人馴れは難しくないかも知れません。
「知れません」のオンパレードで恐縮ですが💦、持って生まれた性質により個体差もありますし、子犬でも何か月の月齢で保護されたかによってもまるで人馴れの難易度が変わってきますので、やはり直接会ってみないと分からないことです。
また、シニアの方が、シニア期の繁殖引退犬や、終末期の看取り犬をお迎えされることも素敵な選択だと思います!みんな苦労をしてきた子たち。最期はおいしいものを食べながら、ふかふかのベッドで、人の温かさに包まれて、寝かせてあげたいです。当然医療費はかかりますが、子犬を迎えてもいずれは医療費がかかるシニア期に突入します。ネガティブなポイントに目を向けるのではなく、いかにその子を幸せにできるかを軸に考えたいですね。
保護犬を迎えるにはどんな条件をクリアすることが必要?
ペットショップでは靴やバッグを買うように犬も普通にその場で購入できますが、保護犬を迎えるにあたっては終生飼育が可能か、保護犬を幸せにできる家庭かという観点で、保護主さん(各愛護センター・団体・個人ボランティア)が独自の条件を設定しています。命をお迎えするのですから、あるべき姿ですし、逆にそれがペットショップでなされていないことに憤りさえ感じます。
以下はほとんどの保護主さんが設定されている条件です。
・年齢制限(20歳以上60歳以下)※年齢は譲渡主さんにより異なります。
・終生飼育を約束すること
・家族に動物アレルギーの人がいないこと
・同居家族全員の合意を得られていること
・避妊手術を確実に行うこと
・毎年の狂犬病、予防注射を受けさせること
・フィラリア予防など健康管理を行うこと
・適切な医療を受けさせること
・飼育困難になった際の保証人を立てること
・十分な飼育スペースを確保し、安全措置を取ること
・集合住宅の場合は規約で飼育が認められていること
・室内で飼育すること
以下の条件も保護主さんにより多くの場合設定されています。
・ご家庭に小さなお子さんがいないこと
・妊娠中でないこと
・独身世帯でないこと
・お留守番の時間が長くないこと
・譲渡後の近況報告をすること
・条件化はされていませんが、先住犬の有無は聞かれます。
上記の条件をクリアした上で、直接保護主さんを訪れてお見合いする、譲渡会に行くなどして保護主さんと合意が得られた場合、トライアルに入ります。トライアルは合意が得られてからすぐではなく、十分なお迎えの準備の期間をとりましょう。トライアル期間は2週間~1か月と設定されているところが多いようです。
ただし、トライアルは「やっぱりやめた」のために設けられた期間ではありません。お迎えしてはじめて家族がアレルギーを発症した、先住犬との相性が合わないというよっぽどの場合を除き、トライアル=譲渡という覚悟をしましょう。なぜなら犬の2週間は人間で言えば半年弱くらいの感覚ですし、パピー期においてはその2週間は大切な社会化期にあたります。人間の軽い思いつきで保護っ子ちゃんの大切な時間を棒に振らないようにくれぐれもお願いします。
保護犬、どうやって探す?
さて、いよいよ保護犬をどうやって探すか?です。
保護犬を迎えるには主に、手段としてインターネットで探すか、直接譲渡会に行くかの2つの方法があります。そしてそれぞれ誰が主催しているかによって特徴が異なるので、末永くお付できそうな譲渡元を探してください。保護犬をお迎えすることはゴールではなく、スタートです。お迎えした後に色々相談したいことが生じます。また最悪のケースですが、愛犬が逸走してしまった際、捜索に協力いただけるかということも、どこからお迎えするかの大きな判断基準になると思います。
1⃣ インターネットで探す
| マッチングサイトで探す | ・ペットのおうち ・OMUSUBI など ※ジモティでも里親募集がありますが、一般家庭の方が、いきなり見ず知らずの方にうちの子あげますということにとても違和感を覚えます。 |
| 保護団体のサイトから探す | ・KDP神奈川ドッグプロテクション(神奈川) ・ピースワンコ・ジャパン(広島/岡山/奈良/東京/神奈川/静岡) ・ちばわん(千葉) ・保護犬ふれあいカフェGURDIAN(兵庫) ・NPO法人 ワン’sパートナーの会(沖縄) など ※全国にたくさんの保護団体があります。お近くの保護団体を探してみてください。 ※譲渡に当たり多額の請求をされたり(保護期間の医療費などの請求は正当です)、譲渡後のペットフードの縛りなどがある団体さんは営利目的である可能性が高いので、やめてください。 |
| 動物愛護センターから探す | 愛護センターが直接譲渡をしている自治体もあります。自治体により体制が異なるため、各センターにお問い合わせください。 |
| 個人ボランティアに直接連絡する | 保護活動をされている方のインスタなどSNSのアカウントを日頃からフォローしておくと、保護活動に対するポリシーやコミュニケーションが取りやすい人柄か?フィーリングが合いそうか?が分かります。(これは保護団体にも言えることです。) そして個人ボランティアの方の中には保護っ子ちゃんの様子を日々SNSで投稿されていらっしゃる方も多いので、お迎えしたい子を探しやすいこともメリットです。多くの場合、個人ボランティアの方はマッチングサイトに登録して譲渡先を探されていますが、私はこちらの方法でアプローチされることをお勧めします。 |
2⃣ 愛護センターや譲渡会に直接見に行く
| 動物愛護センターに行く | 各自治体の愛護センターにより通常業務で譲渡を実施しているところ、譲渡会として実施しているところ、譲渡は実施していないところと、様々です。環境省のホームページにて譲渡を実施している愛護センターの情報を確認できます。 |
| 団体主催の譲渡会に行く | ・ピースワンコ・ジャパン ・ちばわん(こちらのサイトページには他団体さんの譲渡会情報も掲載されています) など |
| その他 | その他、たくさんの譲渡会が全国各地で実施されています。「ご自宅の地域 譲渡会 保護犬」で検索してみてください。 |
おまけ(保護主さんのインスタアカウント)
つらつらと長くなりましたが、いきなり譲渡会に行って衝動買いのようなことをするのではなく、保護主さんのSNSをフォローして、あーーこういうことなのね。と腹に落としてから行動されることをお勧めします!
以下が、私がフォローしている保護主さんのアカウントです。
・kobegurdian :代表クミさんの毒舌と保護っ子ちゃんへの愛情がすごい(インスタライブよく見ています)
・NPO法人 WishMeLuck :若い女性2人でやられていて、大きなビジョンときめ細かな譲渡前トレーニングに感動します。
・𝑶𝒏𝒆 𝑭𝒐𝒓 𝑹𝒊𝒈𝒉𝒕𝒔 𝑲𝒂𝒎𝒂𝒌𝒖𝒓𝒂:保護っ子ちゃん一人一人に丁寧に向き合い、譲渡前にトレーニングされています。
・Life_with_wan:我が子を譲渡いただいた個人ボランティアの方です。香川県出身のパピーちゃんが中心です。
・ahchan : 個人ボタンティアで常にパピーから成犬まで10匹以上と同居。よくお散歩中に声をかけてくださる方とは知らずにフォローしていました!里親さんたちの結束が固いです!
お迎えする決心は固いのだけど、お迎えしてから大変そうね、、、。プロのトレーナーさんの力をお借りして愛犬との絆を構築したいと思われる方はこちらの記事もおススメです。
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“📌お迎えしてからがスタート。保護犬をどこからお迎えするか?”. への2件のフィードバック
[…] さて、気持ちが固まったら、次は保護犬ちゃんをどこからお迎えするかですね?こちらの記事が参考になれば幸いです。お迎えしてからがスタート。保護犬をどこからお迎えするか? […]
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